引き継がれる馬の祭りの息吹を味わう

戦国時代の武士達が矢を放った絵巻が、現在ではライトアップとデジタルサイネージに照らされるギャップに、心を揺さぶられた兵庫県の馬の祭りでした。

甲冑に付いた金具が陽光を反射し、太鼓が野原に残響を描いた空間が、今やカメラによるフラッシュとスマートフォンに包まれる光景へと変貌中。

石畳を踏みしめる音は変わらず重厚ですが、観客席には伝統的な陣羽織や、和柄Tシャツやキャップを身に着けた世代が混在。

兵庫県の馬の祭りで聞こえる掛け声も、古語まじりの儀礼的な調子から、SNSで受けるハッシュタグを口にする、軽やかなトーンへと移っていきます。

革細工師が丹念に整える手作業も、同時にライブ配信で実況され、目や手と三方向で伝統&最新が同居する、不思議な臨場感を生み出してます。射抜きに宿る緊張感は古と同じく凛としたまま。

終演後は屋台に並ぶ若者達が、欧風スイーツと地元菓子を同時に頬張りつつ「次はVRで観たい」と笑い合う姿もあり、兵庫県の馬の祭りには時代を超えた、いまの息吹がありますね。

太鼓と重なる電子音、過去と現代をつなぎ、訪れる者を静かに揺さぶる。そんな鮮烈な対比が、ここでしか味わえない体験となった。